「心のチキンスープ」(ダイヤモンド社)という全米200万部を超えるベストセラーがあります。
本の著者はジャック・キャンフィールドとマーク・ハンセンの二人です。

今日は「心のチキンスープ2」の本の最初に出てくる《サーカス》の話を皆さんに紹介しましょう!
この本には、たくさんの内容が書かれていて、心に響きます。
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《サーカス》
私がまだ十代の頃のことです。
サーカスの入場券を買うために、父と私は長い列に並んで順番を待っていました。
ようやく、私たちの前にいるのは、あと一家族だけとなりました。
私はその家族に強く心を引かれました。とても印象的だったのです。

その家族には、子どもが8人もいて、いちばん年上の子どもでも12才ぐらいにしか
見えません。
あまり裕福そうではなく、着ている服も上等とはいえませんが、きれいに
洗濯されています。
そして、行儀良く手をつないで、両親の後ろにきちんと二列に並んでいました。

期待に胸をはずませた子どもたちは、ピエロのこと、象のこと、そして今から見る
いろいろな演技のことを嬉しそうに話していました。
どうやら、サーカスを見るのは、これが初めてのようです。
子どもたちにとって、今日のサーカスは生涯残る素晴らしい思い出となることでしょう。

子どもたちの前には、両親がとても誇らし気に立っていました。夫の手を
しっかりと握った妻は「あなたは私の騎士(ナイト)よ」と言いたげに見上げています。
夫も温かいほほ笑みを浮かべて「ああ、もちろんさ」と言わんばかりに、
妻を見つめ返していました。

売り場の女性が、入場券の枚数をたずねました。
父親は、胸を張って答えます。
「子ども8枚と大人2枚ください。これで家族にサーカスを見せてやれますよ」
入場券の合計金額が告げられました。
すると、妻は夫の手を離し、黙ってうつ向いてしまいました。
夫のくちびるも震えています。

売り場の窓口に身を乗り出し、彼はまた聞き返しました。
「いくらですって?」
売り場の女性は、もう一度答えました。
その父親には、それだけのお金がなかったのです。
サーカスを見るには、お金が足りないということを、後ろにいる8人の子どもたちに、
どうやって告げようというのでしょう。

ことのなりゆきを見ていた私の父は、ズボンのポケットに手を入れました。
そして20ドル札を取り出し、何気なく落としました。
父は腰をかがめて、そのお札を拾い上げ、その男の方を軽くたたきました。
「失礼ですが、ポケットからこれが落ちましたよ」
その男は、私の父が何をしようとしているのかすぐに察しました。
彼は人から、ほどこしを受けるような人ではありませんでした。
でも、そのときは恥ずかしさと落胆から、途方にくれていたのでしょう。
その助けを心から感謝して受けとったのです。

20ドル札を差し出す父の手を両手でかたく握りしめ、その目をじっと見つめました。
くちびるは振るえ、ほおには涙が伝わり落ちています。
「ありがとう、ありがとうございます。これで助かります」

父と私は車に戻ると、そのまま家に帰りました。
その晩、私たちはサーカスを見ることはできませんでした。
でも、それでよかったのです。  ダン・クラーク
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お父さん素敵過ぎます(^_^)b